渡辺 佳恵の雑誌にまつわるエトセトラ

Vol.02

Update : 2012/08/06

自分は「リア充」じゃないと落ち込んでいるあなたへ。

 9月号は端境期である。一昔前は、どの雑誌もこぞって9月号になると秋の新作スクープ!みたいな秋服速報を特集していたものだが、世間の流行が昔ほど雑誌発信ではなく、街からのリアルな発信が多くなった今、9月号はスナップや流行白書など「今」を伝える記事がメインの雑誌が増えた。そんな中「GINGER9月号」も特集の一つが「GINGER女子の夏のリア充ブーム」。おしゃれな読者モデルのブームを色々な角度で取材している特集で面白かった。けれど、それを読みながらふと、先日30代の知人女性がポツリとつぶやいた言葉が思い出された。「私、こんなに仕事ばかりして、彼もいなくて、でも、雑誌やFBを見るとみんなリア充で、私、こんなんでいいのかなあ~って落ち込んでしまうんですよね」。
 「リア充」 2012年流行語大賞にノミネートされるのではないか? というほど蔓延している言葉だけれど、私はあまり好きな言葉ではない。そもそも、雑誌の特集で、「私の24時間」とか出ているものを鵜呑みにしてはいけない。早朝に起きて、ジョギングして、ステキなところでブランチして、スキルアップにお稽古事行って、彼とデートでクラブに行って、友人と合流して……その人は、もちろん、そんな日を送る日もあるだろう。けれど、それが365日続くわけじゃない。「ほとんど寝てるか食べるかしかしてないし、気づいたら、今日一日パジャマで過ごしてたー」って日だってあると思う。ただ、雑誌だから、その後者の日を取り上げても仕方ないから、前者の忙しい24時間を取り上げているわけで、それだって、ちょっと編集者の手によって“演出”(盛ってるとも言う)してるかもしれない。かくいう私も「食事面で美容のために気をつけていること」とか雑誌に取材されるが、やっていることをありのままには話すが、実はカップラーメンもファーストフードも好きで食べてしまうことはあえて言わないし、先方もそんなことは期待していない、ゆえに誌面には載らないから、私はまるで365日野菜中心の美しい食事をしている人ということになってしまう。けれど、それは事実ではない。フェイスブックだってそう。「●●に行きました~」とか、楽しい出来事はみんな書くけれど、「今日は誰ともヒトコトも話さなかった」などということはいちいち書かない。だから、書いてること=リア充に見えるだけで、それはほんの一面に過ぎないのだ。そんな人が“見せたい部分だけを(しかもちょっと演出もしたりして)見せている”リア充に、落ち込む必要はないのである。でも、リアリティがなにより求められる時代、雑誌の「流行白書」も、ステキな面だけじゃなく、モデルさんや読者モデルさんなど、普段キラッキラのリア充に見える人たちの「じつは、こんなに私、ダメなんです」を公開したら、意外と受けるかも? 何しろ「共感」が一番のキーワードな時代だしね。


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渡辺 佳恵
渡辺 佳恵
Yoshie Watanabe

’92年から14年間、雑誌「CanCam」のファッションディレクターとしてブームを仕掛ける。 現在は現在はライフ&ビューティディレクター として幅広く活躍中。 女性誌を長年、たくさん見てきた渡辺佳恵さんがJLoveコラムニストとして登場!

<渡辺佳恵公式サイト> http://watanabe-yoshie.com/